私たちは、年に何回かイベントで磁石製品を販売させていただくことがあります。まだまだ、一般のお客様には強力なネオジム磁石は珍しいので、大きくて強い磁石を売ってくだいとお願いされることがあります。
タイトル写真は超大型のネオジム磁石です。これは着磁前(永久磁石は磁力を入れる工程があってこれを着磁と言います)で、磁力がまだありません。着磁後は危険物でわれわれプロでも取り扱いたくない大きさです。企業の技術者の方に販売するにも、安全確保のための打ち合わせを行わないと販売することはしないレベルです。(工業用でもここまで大きい磁石を使うことはほとんどありませんが、、、)
さて、ご家庭で磁石を使う場合の私たちのおすすめですが、以下のような磁石でご説明します。
左から
1)Φ4.0mmx3mmのネオジム磁石,2)15x5x2mmのネオジム磁石,3)20x10x2.5mmのフェライト磁石,4)Φ14x7mmのネオジム磁石,5)Φ20x10mmのネオジム磁石,6)20x20x10mmのネオジム磁石,7)Φ60xΦ30x8mmのフェライト磁石,8)一番右は、冒頭の巨大ネオジム磁石(150x90x50mm)
です。
8)はまず目にすることはないでしょうから、無視します。それ以外はインターネットでも販売されており、一般の方でも購入可能なものです。
一般的に購入可能な磁石の素材は、フェライト磁石とネオジム磁石です。同じネオジム磁石でも様々な性質がありますが、家庭で使う用途ではそれほど磁力の違いは気にならないと思います(難しい使い方をしようとすると差が出てきます)。磁力を決めるのは概ね大きさで(厳密に言うと難しいので、ざっくりとした表現をさせていただきました)、同じ大きさ(形)ならだいたい同じような強さになります。フェライト磁石の場合、ネオジム磁石に比べだいぶ弱くなりますので、ネオジム磁石の10倍くらいの大きさが必要になる場合があります。
上の磁石のうち、4),5),6)はそれほど大きそうではない様に思えるかもしれませんが、鉄板に吸着している状態から取ろうとすると、なかなか取れない強さです。だいたい5-10Kgくらいの力で鉄板に吸着します。スーパーの買い物袋でも牛乳やペットボトルなど重いものを詰め込めばこのくらいになることがありますから、マグネットフックなどを作ろうとすれば、このくらいの磁石は使いたくなるでしょう。
しかし、気をつけていただきたいのは、この大きさで10Kg出るということです。この大きさだと一般の方は、指先でつまんで持ちます。指先で10Kgの鉄アレーを持つ様なものです。
いかがでしょうか?なんとなく危なさが感じられるでしょうか?
大きいネオジム磁石は危ないので、小さいネオジム磁石はどうか?ということですが
1)は文具などでよく見るサイズで、だいたい500gくらいの力で鉄板に吸着します。500ミリリトルのペットボトルが手の上に乗っているくらいの力です。この磁石2つをくっつけた場合だいたいその倍の1Kgの力でくっつくことになります。
1リットルの牛乳パックを手の上に乗せるくらいの力です。この力が直径4mmの円に集中します。
小さいのに強いのがネオジム磁石の特徴なのですが、気をつけたいのはお子様の誤飲です。
小さい磁石を飲み込んでしまい、腸のなかで1つの磁石が腸を挟み込こんでくっつき、腸を破ってしまったという事故が報告されているそうです。力が1点に集中するので小さい磁石でもこの様な事故が起こる恐れがあります。
だいぶ説明が長くなりましたが、この様なネオジム磁石の特徴から私たちPermeanceのおすすめとしましては、
a)1辺が10mm(1cm)を超えるネオジム磁石はなるべく使わない!
b)強い磁石が必要な場合、少し大きめのフェライト磁石にするか、1辺が5mm前後のネオジム磁石を複数使って必要な強さに調節する。
c)子供の誤飲が起こらないよう、家庭では磁石だけで使わない。(大きめの部品に取り付けて、取れないようにする。)
たとえば、1),2),3),7)あたりがおすすめサイズです。文具や雑貨小物で使う場合には3)など1cmくらいのフェライト磁石を基本に、デザイン重視で磁石を埋め込む場合1),2)を使う。マグネットフックのような大物を考える場合、ネオジム磁石はそもそも危ないので、7)くらいのフェライト磁石を使う(むかし自動車のアンテナをつけていた磁石くらい)。というのがおすすめになります。
そんなことわかっているよ!と怒られそうですが、くどいくらいネオジム磁石の取り扱いについての記事は書かせていただきますことを、ご了承ください。ぜひ正しく、楽しく磁石を使ってくださると、うれしいです。